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Arty Rosa
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あげましょう!
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それから数日後…
わたしは店の先輩に連れられてある有名嬢に会いに行く事になった。
最初の頃は緊張しまくってた他店の嬢、ホステス3年目ともなれば慣れたもん。
(今日はきっといっぱい飲まなきゃなんだろうな…)
そう思ったわたしは牛乳を飲もうと思い付いた。
『りょうさん、ちょっとローソン寄っていいですか?』
『うち外にいるから〜』
『すぐ済ませます!』
“酒を飲む前には牛乳”
3年間のホステス人生で身につけたしょぼいプチ知識だった。
でもこのしょぼいプチ知識が、わたしをまたあの男に会わせてくれたんだ。
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ローソンに入り牛乳を手に取りレジに向かう。
あいにく若干レジは混んでた。
(あっミンティア無くなったんだっけ…)
そう思って牛乳片手に回れ右。
そしてレジ近くの棚に近付いたその瞬間……
ボトッ
にぶい音を立ててわたしの手から牛乳が床に落ちた。
呆然と立ち尽くすわたしの目線の先には1人の男が。
あの男だ、あの日のあの頭のおかしい男だ!
あいつはあの日の雰囲気とは打って変わってとてつもなく、キレイだった。
キレイな栗色の髪の毛は丁寧に巻かれ、暖かそうな真っ白なロングコートを身にまとい、いかにもホストといった感じの有名ブランドのカバンを肩にかけてコツコツと音をたてながら店内を歩いてた。
わたしはまるで幽霊でも見るかのようにあの男を目で追った。
すると、あの男がゆっくりと歩きながらレジの方に向かって歩いてきたではないか!
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わたしの心臓はいつの間にか超高速状態に陥りバックンバックンだった。
(やばい、何て声かけたらいいんだろ?あ〜やばい、これは非常にやばい。いや、落ち着け…落ち着いてまずは普通に自然に話しかけるんだ)
わたしは自分を落ち着かせ近付いてきたあの男に声を掛けた。
『おっ、おー久しぶりじゃん!元気だった?』
するとあの男は一瞬チラッとこっちを見ると、うざったそうに顔をしかめそのまま足を止めずにレジに向って行く。
(は?シカトか!?まさかもう忘れちまったのか!?)
あまりにも予想外な展開に、わたしはどうしたらいいのか分からなくなった。
『ルーシアの5ミリ2つちょーだい』
あいつは透き通った声でそう言ってタバコを買うと真っ直ぐにATMへ。
わたしは急いで牛乳を買い跡を追った。
あの男は何回にも分けてお金をおろしてた。
かなりの大金や…
それを見たわたしはつい口が滑り、
『あんたさ、人に金ないから貸せとか言ってたくせにめっちゃ持ってるじゃんか!』
すると今までわたしの存在を100%シカトしていたあいつがピタッと動きを止めわたしの方を見た。
……あの目だ。
あのメドゥーサのような目だ。
この目にわたしは弱いんだ。
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『あんたに…俺がお金を借りた?』
あいつは疑った顔でわたしを見つめた。
『忘れたの?あなた1週間前にここのローソンの外のとこでわたしから無理やり5000円借りて、しかもダウンコートまで持ってたまんま消えたじゃん?』
わたしはそう言いながらも牛乳にストローを注す。
するとあいつは札束を財布に詰め込みながら眉をしかめた。
『1週間前、ダウンコート?……あっ!もしかして黒いダウン?』
『それそれ!それ!黒のモコモコのやつや!』
するとあいつはいきなりわたしの腕を掴んだ。
『あーあのダウン君のだったんだ?いや〜あの日さぁ…起きたらなんっも覚えてなくて、誰のか分かんないダウン着て何故かスーツのまま家にいたんだよね〜あのダウン君のだったんだぁ。いやぁ〜にしても偶然だね〜てか俺、君と絡んだ記憶一切ないんだけど…さっき言ってた5000円ってなに?』
あいつは突然生き生きとした口調で一気に喋り倒した。
いきなり喋り出したと思ったら、絡んだ記憶一切無しとはね。
さすがにわたしも呆れて言葉が出なかった。
やっぱりあいつはミラクルだった。
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KAN!おい!KAN!おまえ少し才能あるわ!小説面白いわw
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たいとってまだいる?
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いるよー
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いるよー
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するとその時、後ろから先輩の声がした。
『れいちゃーん!れいちゃん!?何やってんだー早く行くよ!』
『あっはい!すいません!』
運悪く呼ばれてしまった。
(あ〜どないしよ。まいったな…また会えなくなるのだけはいや)
そう思ったわたしはすかさず携帯を取り出して…
『番号!早く!』
あいつは少し考えたあとに…
『レアもんだからね!1回しか言わないからちゃんと聞いてよ?』
『えっちょいまち…』
『090の********だよ〜なんかよく分かんないけどお世話になったみたいだし一応ありがとね。連絡ちょーだい。れいちゃん♪』
そういうとあいつは小走りでまた夜のススキノに消えていってしまった。
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