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しこたまクリニック-3
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しこクリファンのつどい
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暇そうすぎて可哀想になる
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「フハハ! 見たまえ妹よ、カップルがゴミのようだ!」
ゴミのような姉がなんかほざいていた。観覧車の窓にへばりつきながら。
数年ぶりの遊園地だというのに、『姉に彼氏ができたときのための予行練習』とかいうクソみたいな理由で来たせいで全く楽しむ気分になれない。
未だかつてないほど無意味な休日。
「春といえば桜、桜といえばピンク、ピンクといえばそう恋だ! 春は恋愛においても始まりの季節! 我々もリア充どもを粛正しつつ新たなる出会いを探そうではないか!」
「春はあんたの脳内だけだよ。いまは梅雨の直前期」
てかクリスマスにも似たような連想ゲームしてなかった?
どうでもいいし乗っかる気は微塵もないけど。
「てなわけで美優! 下に降りたらどっちが早く彼氏を作れるか勝負よ!」
「あーはいはい、競争ね」
連絡先交換で妥協しない辺り、姉らしいというかバカというか。
――そして観覧車から降りて数分。
「ねえそこのお兄さん、今からお姉さんといいところに行かな、あ、ごめんなさいすみません」
「これはひどい」
902
「リクって三上のこと好きなんだろ?」
その日の会話は、今でも鮮明に覚えている。
「ばっ、ちげーよ! なんであんなやつなんかを!」
「だって昼休み、三上としゃべっててにやにやしてたし! ぜってー好きだろ」
「ちげえっつってんだろ!」
真っ赤になったリクの顔を、僕はケラケラ笑っていた。
不気味な夕陽に色濃く染まる、空と、カラスと、交差点。
その道路の向こう側、一際赤いランドセルが見えた。
「あれ? あそこにいんの三上じゃね? おーい、みか――んぐぅ!?」
「バカ! 呼ばなくていいよ!」
大きく開けた僕の口に、すぐさまリクが飛びつく。
このときの僕は、すっかり悪ノリになっていて、
「なぁリク、今から走って告ってこいよ」
「はぁ!? ヤだよそんなの!」
「いいから行けって! ほら!」
「わ、ちょ、押すなよバカ!」
横断歩道につんのめるリク。それを冗談っぽく笑う僕。
――目の前は赤信号だった。
「え?」
一瞬だった。
居眠り運転のトラックが、リクの身体を粘土細工みたいに挽きつぶす。
まるで熟れて潰れた苺のように。
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心地よいそよ風が頬をなでた。
頭上の木の葉がさらさら揺れて、膝の上で木漏れ日が躍る。一人ぼっちの昼休み。
「……いい天気だなぁ」
のんびりと、いつもよりスローペースで、お弁当をつまみながら。
流れる雲をぼんやり眺めて。
遠く、校庭からは同級生達のかけ声が響く。
僕にとっては別世界だ。
――カサカサ。
「あ、やっときたね」
茂みから小さな影が二つ、現れた。
子猫と子犬が一匹ずつ、よちよち歩きで僕に近づく。
「みぃ?」「くぅん」
「よしよし。ちゃんとキミ達の分もあるよ」
タッパーを二つ取り出し、二匹の前でふたをとる。
おこづかいでこっそり買ったペットフード。よほどお腹がすいてたのか、すぐさま飛びついてきた。
その様子に僕も笑って、ご飯の箸も自然と進む。
最近、友達と食べるお昼がこんなにおいしいって、初めて知った。
「……ふぁ〜ぁ」
食べ終わったらあくびが出てきた。
いつの間にかタッパーも空になってて、二匹は僕の両足に身を寄せ、丸くなっていた。
すやすやと幸せそうに、無防備な寝息を立てている。
「……ごめんね、うちじゃ飼ってあげられなくて」
でも、せめて今だけは。
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開示請求は、プロバイダ責任制限法第5条に基づく情報開示請求です。これは、インターネット上で他者を誹謗中傷するような表現を行った発信者の情報(住所・氏名・登録された電話番号等)について、プロバイダに対して、情報の開示を求める制度です。
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一般に、インターネット上の違法な書き込みにより名誉毀損や誹謗中傷を受けた場合、そのような記事やコメントを掲示板などのサイトに掲載した人(発信者)は、被害者に対して、民法上、不法行為に基づく損害賠償責任を負うことになります。誹謗中傷等の被害を受けた被害者は、加害者である発信者に対して、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます。また、書き込み内容によっては、発信者には名誉毀損(きそん)罪や業務妨害罪等の刑事上の犯罪が成立します。この場合、発信者は刑事上の責任を負うことにもなります。
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プロバイダ責任制限法5条の要件を整理すると、以下のようになります。
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1.特定電気通信による情報の流通
「特定電気通信」とは、「不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信」と定義されており、インターネット上のウェブサイトで行う、誰もが閲覧可能な情報発信のことをいいます。
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2.自己の権利を侵害されたとする者
発信者情報開示を請求する者のことで、自然人に限られず、法人、権利能力なき社団なども含まれるとされています。
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3.権利が侵害されたことが明らかであること
一般に「権利侵害の明白性」と呼ばれる要件で、多くのケースで問題となります。この要件は、権利侵害の事実とそれに加えて違法性阻却事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことを意味します。一般的な不法行為に基づく損害賠償請求では、違法性阻却事由について請求者側で主張立証する必要はありませんが、発信者情報開示請求では、情報を開示される発信者側のプライバシーや表現の自由が考慮されることによって、立証責任が転換される形で要件が加重されています。
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